Rainy Days And Mondays
「Rainy Days And Mondays 」
急に東北方面に出張になった。
なんとか、前乗りしてとある街についた。
まだ時間的に余裕があると思い、付近の飲み屋街を探した。
地元の常連さんたちがいるような居酒屋だった。
そこで酒を呑んでいるうちに常連さんたちと打ち解け、
話にのめり込んで時を忘れるまで、
呑んでしまった。
ふと、宿泊するところを予約していないことに気が付き、
急いで店を出て、その近くにあるビジネスホテルを探した。
急に肩を叩かれた感覚があって、
後ろを振り向くと、昔付き合った彼女だった。
「泊まるとこさがしてんだったら、私が予約してるところ、譲ってあげるよ。」
と、あるホテルを指さし、そこまでついてきてくれた。
彼女は近くの大学病院に勤めているので、
緊急の何かがある時には、そこに泊まることがあり、
月に何回か部屋をリザーブしているようなのだ。
彼女はフロントに行き、何か交渉して戻ってくると、
ルームキーを手渡し、
「ここに泊まっていきなよ」
といって、
そのまま、立ち去った。
そして、何かを忘れたように踵を返し、
私にある書店のブックカバーがかかったままの文庫本を一冊手渡し、
また、そのまま立ち去った。
私は、傘を買わなきゃと思って、
傘の自動販売機に、
居酒屋のお釣りであった硬貨を何枚も何枚も入れつづけながら、
目が覚めた。
外では、春の大雨がこれでもかの勢いで降り続けている。
嗚呼、
「雨の日と月曜日は」
憂鬱だ。