『落花随燕入 遊糸帯蝶驚』
『落花随燕入 遊糸帯蝶驚』
散り落ちる花びらは燕のあとを追って舞い、空飛ぶ遊糸は蝶に絡まって驚く
『かげろうという言葉は、昔は蜘蛛が空を飛ぶために吐き出した糸が、風に乗ってどこからともなくやって来て、どこへともなく消えていくさまを表現したのだという説があります。
糸遊とも遊糸とも表現されてきまして、
『落花随燕入 遊糸帯蝶驚』
なんて六世紀頃の中国の詩にあります。
散り落ちる花びらは燕のあとを追って舞い、
空飛ぶ遊糸は蝶に絡まって驚く
…直訳するとそういう意味でしょうか?』
(宮本輝 「冬の約束」文中より)
作中に、「冬の約束」のキーワードとなる、
「飛行蜘蛛」のことが出てくる。
「飛行蜘蛛」とは?
https://matome.naver.jp/m/odai/2141712885398899701
蜻蛉日記の、
「かげろう」=「雪迎え」
のことでもあるそうだ。
源氏物語のかげろふの巻でつぶやかれるものも⇒英語でいう、
「gossamer」にあたるらしい。
弥彦では、
雪が降る前触れに、雷が鳴った。
地元の人は、
「そろそろ、かも知れない・・・」
と悲しげに言った。
私は、
雪が見たいと訪れたはずだったが・・・
そう、
「飛行蜘蛛」とは、
「雪迎え」であり、
私だったかも知れない。
「もつれた蜘蛛の糸をほぐせば、案外、負の感情が爆発的な生の感情のほとばしりへとつながる。こじれた人間関係でも同じである。問題は、蜘蛛の糸をほぐせるほどに焦点を当てられるかということなのである。」